代表コラム
【探究堂日記 #37】悔いのない選択をするには? 子どもたちがたどり着いた「優先順位」が大人に響く
たくらみ中学年(小学3・4年生)クラスでは、「人生は選択の連続である」を合言葉に、議論を通じて、身近な「答えのない問い」について考え続けてきました。
「悔いのない選択をするためにどうすればよいか」をテーマにした作文に取り組むことが今回のプロジェクトの最終ミッションです。
「僕が一番苦手なやつや……」
子どもたちにミッションを提示すると、小3のAくんはため息をつくように本音を漏らしました。
彼に限らず、作文に対して苦手意識を持っている小学生は多いものです。
そこで、いきなり文章を書き始めるのではなく、まずはワークシートを使って、自分の考えを整理していくことにしました。
今回の作文で押さえておきたいポイントは以下の3つです。
①議論を通じて、感じたこと
②自分の判断基準の傾向
③自分の傾向を踏まえ、悔いのない選択をするためにどうすればよいか
最初は戸惑う様子も見られましたが、まずは箇条書きでよいので書いてみようと促すと次第に鉛筆が動き始めました。
私はしばらくの間、彼らの作業をじっと眺めていました。
「文さん、ちょっと見てもらっていいですか?」
小3のMちゃんが一旦書き終えたワークシートを私のところに持ってきます。
内容を読ませてもらうと、彼女は自分の判断基準が「親・先生」と「決まり」に偏りがちだと自己分析していました。
叱られたくないからという理由で親や先生の顔色ばかり伺ってしまうこと。
また同じ理由から、決まりやルールに盲目的に従ってしまうこと。
これまで実施してきたケーススタディの結果にいろいろと思い当たるところがあるようです。
しかし、今後悔いのない選択をしていくためには、さらに考えを深めていかなければなりません。
「今のままやと、どんな問題が起きそう?」
「(親や先生の顔色を気にして)自分のやりたいことができなさそう」
「それだけ?」
「あと、その決まりが本当に必要かどうかわからなくなっちゃうかも」
「なるほど。で、Mちゃんはこれからどうしていきたいの?」
「やっぱり、本当にやりたいことを自分の頭で考えるようにしたい」
「じゃあ、そのためにどうすればいいかを考えてみたらどう?」
「……もうちょっと考えてみる」
子どもたちが学びを自分ごととして捉えられるよう、一人ひとりとこのようなやりとりを繰り返していきます。
そして、ワークシートが完成した子から順次作文に取り掛かります。
そんな中、作文嫌いのAくんがワークシートにかなり苦戦している様子が伺えました。
普段の彼の様子から推察するに、頭の中でいろいろ考えていることはあるものの、それを言葉でうまく表現できずにいる状況がひしひしと伝わってきます。
「Aくんはどこで困ってんの?」
「最後の項目(悔いのない選択をするには)に何を書いたら良いか全く思いつかへん……」
「そっか。まずは自分の判断基準に偏りすぎると何がマズいか考えて見たら?」
「僕はみんなと違って、自分のやりたいことを優先しがちやねんなあ」
「自分のやりたいことを優先するのってそんなに悪いことなん?」
「だって、自分勝手な人に思われて、周りから避けられそうやし」
「じゃあ、人の意見に合わせておけば万事解決?」
「それも違う気がするなあ……」
彼はその後のやりとりを通じて、やりたいことの優先度をつけるというアイデアに至りました。
どうしてもやりたいことはやはり譲れないとのこと。
ただ、それほどでもないことは、「相手に譲る」「話し合いで決める」「我慢する」などの方法を使えばよいのではと自分なりに考えたのです。
書く内容の方針が決まって、本人も少しホッとしたようです。
その表情は、本プロジェクトの最終成果物が作文であることを知った授業開始当初とは大きく異なっていました。
どの子も真剣な面持ちで原稿用紙に向かい、鉛筆の音が教室に静かに響きます。
プロジェクトのゴールはもう目前です。
* * *
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