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代表コラム

【探究堂日記 #33】宿題があるのに友だちに誘われたら? 議論の末見えてきた「本当の自分」とは

たくらみ中学年(小学3・4年生)クラスでは現在、「選択」をテーマにしたプロジェクトに取り組み中です。
「人生は選択の連続である」を合言葉に、議論を通じて、身近な「答えのない問い」について考え続けています。

 

今回のお題は「やるべきことがある中で、友達の遊びの誘いを断る?断らない?」です。

 

週末に宿題をたくさん抱えるなかで、友達から魅力的な遊びのお誘いがあった場合に、あなたならどちらを優先するのかという内容で子どもたちに問いかけます。

 

「うーん、悩むなぁ……」

 

ワークシートに議論前の自分の意見を書く際に思わず独り言がこぼれます。
彼らにとって、これまでのお題の中で最も現実味がある状況なのかもしれません。

 

ワークシートが書き終わったのを見計らい、どちらの立場を取るか確認しました。
結果はクラス4人中3人が「断る」を選び、「断らない」を選んだのは小3のAくん1人だけでした。

 

(ほぉ、友達と遊ぶのが大好きな最上級生のKくんは「断らない」の方を選ぶかと思ったんだけどな。)

 

まずは多数派の意見を聞いてみることに。

 

「宿題忘れで先生に叱られたくないわ」
「家に電話されて、お父さんやお母さんから怒られたら最悪やし」
「僕やったら、先に宿題を終わらせちゃうかな。また次の機会に遊べばいいやん」

 

結論は同じでも、その背景にある考えの違いが見えてくるのが議論の面白いところです。

 

「なんとか時間を作って遊ぶ!例えば、朝早起きして宿題を片付けるとか」

 

ひとり「断らない」と論陣を張る男の子はどうしても遊びを優先したいそうです。

 

そこまでこだわる理由がふと気になり、さらに深堀りして聞いてみます。
すると、彼の学校の休み時間への不満が浮き彫りになってきました。
彼いわく、休み時間とは名ばかりで、実際には授業の課題などでつぶれてしまうことが多いとのこと。

 

現場の事情を把握している訳ではありませんし、担任の先生の言い分もあるでしょう。
ただ、私はこの発言を聞いて、何とも言えない複雑な気持ちになりました。

 

「実は先週も宿題忘れをしていたとしたらどうする?」
「クラスメイトも一緒に参加すると言ったら?」

 

追加条件を次々に提示し、子どもたちの考えに揺さぶりをかけます。

 

当初は「遊びを優先したい」という思いの強かったAくんも二週連続の宿題忘れはどうしても避けたいようです(笑)

 

クラスメイトが一緒に参加するという状況では、他の3人も少し決意が揺らぐのかなと予想したのですが、むしろ「断る」の意思が固くなるという結果になりました。
参加人数が多いほど、先生の説教の時間が長引くに違いないという発想は普段の学校生活で得た知恵(?)なのかもしれません。

 

最後に「どんな条件なら友達の誘いを断らない?」と尋ねてみると、質的にも量的にもこの内容であればやりきれると事前に判断できたときという非常に現実的な答えが返ってきました。
遊ぶ前に宿題を少し終わらせておくなど、自分なりの工夫を思いつくところに中学年クラスの頼もしさを感じます。

 

ふりかえりでは、自分の意見の根底にある判断基準はいったい何なのかについて考えます。
その際に参考にした判断基準は以下のとおりです。

 

・自分がやりたいことをする【自分】
・親や先生の意見に影響されやすい【親・先生】
・他人の目を気にする【他人】
・ルールを守ろうとする【決まり】
・実質的に意味があることを優先する【実利】
・モラルを大事にする【道徳】

 

全5回のケーススタディの結果を並べてみると、自分の判断基準の傾向がなんとなく見えてきます。

 

「『決まり』に偏ってるなぁ」
「僕はみんなと違って、『自己』がめっちゃ多い」
「たしかに、普段でも親や先生の目を気にしがちかも……」

 

自分の判断基準を認識し、その判断基準の是非を自分なりに考える。
今回のプロジェクトもいよいよ山場を迎えました。

 

 

* * *

 

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「探究する学びってどんなものだろう?」
「子どもたちが学ぶ様子はどんな感じなの?」
「探究する学びを通じて、子どもたちにどんな力が育まれるんだろう?」

 

ブログの読者の中にはこのような感想を抱かれる人がいらっしゃるかもしれません。

 

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