代表コラム
【探究堂日記 #29】外来生物は悪者?大事にしなくていい? 子どもたちが真剣に考えた
たくらみ低学年(小学1・2年生)クラスでは、11月より「外来生物」をテーマにした新プロジェクトが開始しました。
このクラスには普段から生き物に興味がある子も多いため、今回のテーマに対して子どもたちがどのようなイメージを持っているか確認するのが楽しみです。
「『外来生物』という言葉を聞いたら、どんなことを思い浮かべるかな?」
探究堂のプロジェクト学習の進め方にすっかり慣れた彼らはすっと挙手して、自分たちが知っていることや思いつくことを述べ始めました。
「家の水槽でミシシッピアカミミガメを飼ってるで。僕が生まれる前から家にいんねん」
「ワニガメは甲羅にトゲトゲがあんねん。魚を食べるんやけど、噛む力がめっちゃ強いんやって」
「ジャンボタニシも外来生物やで!」
「動物だけじゃなくて、何とかたんぽぽっていうのも聞いたことある。名前何やったけなあ……」
「アメリカザリガニはでかくて凶暴やねんなあ。そのせいでニホンザリガニの数が減ってるって前にテレビで言ってた」
テレビや本(図鑑)で見聞きした情報が多いものの、低学年クラスのメンバーは既にたくさんの知識を持っていることが伺えます。
具体的な生き物の名前がいろいろ挙がったところで、小2のTくんが「外来生物」という言葉に着目した意見を出してくれました。
「外来生物の『外』という字は『そと』って読むでしょ?日本以外の外国からやって来た生き物ってことやと思う」
すると、それを受けて、別の男の子が意見を付け足します。
「もともと日本にいた生き物は在来生物って呼ぶねんて。大切にせなね」
まさにテーマの根幹に関わる内容だったので、私はすかさず彼らの認識を揺さぶる発問を行いました。
「じゃあ、みんなに聞きたいんやけど、外来生物は悪者やし大切にしなくてよいってことなの?」
「・・・」
予想外の問いかけに、答えに窮する子どもたち。
外来生物に対するイメージは正直あまり良くないものの、一方的に悪者扱いしてよいものか確信が持てないようです。
既有知識の確認を終えたところで、私はリュックからノートパソコンをおもむろに取り出しました。
半年前に鴨川で偶然遭遇したヌートリアの写真をたくらみキッズに見せるためです。
「最初はカモが水中に首を突っ込んで餌を食べてるんやと思っててん。だけどよく見たら、全身が毛むくじゃらでさ。突然びよーんと体を伸ばして泳ぎだしたんやで」
子どもたちは興味津々で、話に聞き入ります。
実はこの話にはオチがあって、私がその生き物をカワウソだと勘違いし、撮影した写真をFacebookに投稿したところ、友人たちから訂正されたのです。
これにはみんな大笑いです。
授業の後半には、お手製の生き物カードを使った外来生物当てクイズを行いました。
生き物カードの中には、ブラックバスやアメリカザリガニのように本や図鑑で知っているものもあれば、全く見たことも聞いたことがないものも。
子どもたちは生き物の名前などを手掛かりに外来生物かどうかを分類していきました。
正解を発表するたびに一喜一憂する声が教室中に響き渡ります。
では、はたしてクイズに正解すればオッケーなのでしょうか?
探究堂のプロジェクト学習を少しでもご存知の方であれば、その答えが「NO」であることは容易にご理解頂けるでしょう。
このクイズはあくまでこれから外来生物を取り巻く問題を考えていくきっかけに過ぎません。
本プロジェクトでは、私たちの身の周りで増えている外来生物の存在を知ることをきっかけに、生態系とは何かについて学んでいきます。
そして、「自然を守ろう」「外来生物は悪者だ」という一面的な判断ではなく、外来生物の増加を招いている要因をきちんと踏まえ、生態系における相互作用を考察していきたいと思います。
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