代表コラム
【探究堂日記 #23】子どもたちが「ウルトラハンド」を自作! 生みの親は任天堂のレジェンド
たくらみ中学年(小学3・4年生)クラスでは現在、「技術や仕組みは応用できる」を合言葉に、ものづくりプロジェクトに取り組んでいます。
ある日の授業のこと。
私は子どもたちに「ウルトラハンド」という商品を写真で紹介しました。
「ウルトラハンド」とは、手元で開いたり閉じたりすることで、ハンドが伸びて目標を掴むことができる玩具です。
「この商品を開発したのは多分君たちも知ってる会社やで。どこやと思う?」
予期せぬ質問に一瞬戸惑いの表情を見せるも、小3のAくんがすっと手を挙げました。
「もしかして、任天堂?」
本人としては半ば当てずっぽうの答えだったようですが、なんとこれが大正解!
「えーーっ、昔はこんな商品を作ってたんや!」
家庭用ゲーム機でおなじみの現在の任天堂からは想像もつかない商品なだけに子どもたちは驚きを隠せません。
ちなみに「ウルトラハンド」を開発したのは、ゲーム&ウオッチやゲームボーイの生みの親である伝説の技術者・横井軍平氏です。
家庭用ゲーム機の歴史に大きな足跡を残した彼の功績や「ウルトラハンド」の開発エピソードをたくらみキッズは興味深そうに聞き入ります。
(本題から外れ、私もついつい熱く語ってしまいました。)
ここで私は子どもたちにあるミッションを提示しました。
それはホームセンターで購入したヒノキの工作材で、「ウルトラハンド」を模したおもちゃを自作するというもの。
自分で手を動かしながら簡単な機械を作ってみて基本的な仕組みを理解するのがねらいです。
彼らはやりがいのある課題だと意欲を示しました。
工作用紙で作った見本を見たり触ったりしながら、早速設計図を描き始めます。
構造自体は非常に単純なのでさほど苦労しないのではとこの時点では思っていたのですが、私の予想は見事に外れることになります。
部品の長さがバラバラだったり、部品の上下関係を守れていなかったり、留め具の位置を完全に間違えていたり。
子どもたちが描く設計図は緻密さに欠け、その通りに作ると絶対に動かないことが一目瞭然でした。
工作の経験が少なく、頭の中の完成イメージが不明確であることが容易に伺えます。
そこで私は、構造を理解する上で大きなポイントとなる部分を伝え、見本を再度観察するようアドバイスしました。
子どもたちは一層真剣な表情で課題と向き合います。
そして、四苦八苦しながらも何とか設計図を描き終え、ようやく製作に入ることに。
のこぎりで材料を切り出し、紙やすりでバリ取りを行い、キリで穴をあけていかなければなりません。
「穴をあけるんが結構大変やなあ……」
工作道具に不慣れだと言っていたAくんがぽつりとつぶやきました。
慎重さと正確さが求められる作業なだけに、神経を使って、思いの外疲れたようです。
それでも途中で諦めたり、手抜きをしたりする様子は全く見られません。
マイ・ウルトラハンドの機構部分がようやく形になると、たくらみキッズは何とも満足げな表情を浮かべます。
ハンドの先端につける吸盤がなく、まだまだ不完全な状態でしたが、子どもたちにとってそんなことはお構いなし。
マイ・ウルトラハンドで机の上の小物を掴む実験があちこちで始まりました。
パンタグラフ式の構造が生み出す動きはユーモラスで彼らの心をがっちり掴んで離さないようです。
頭で考えるだけでなく、実際にものを作ることで仕組みの理解を深めたたくらみ中学年クラス。
いよいよオリジナルメカの設計に向けて動き出します。
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