代表コラム
【探究堂日記 #7】「昼間に魚が釣れにくいのはなぜ?」 小さな研究者が編み出した実験方法とは
探究堂では、クラスの仲間たちと試行錯誤して取り組む「プロジェクト学習」がカリキュラムの中心です。
自分一人では思いつかない発想が生み出される瞬間を体感してもらいたいと考えているからです。
一方で、探究堂には自分が興味・関心のあることをテーマに設定し、個人プロジェクトとしてそのテーマをとことん追究する授業も存在します。
「マイプロジェクト」を略して「まいぷろ」と名付けたこのクラスには、中学年クラス(小学3・4年生)に在籍している生徒のうち希望者のみ参加して頂いています。
まいぷろクラスでは以下の点を大切にして授業を進めています。
1. 探究サイクルを自主的に回す
自らの力で「仮説・実験・検証」を繰り返し、正解を導き出すことよりも、仮説を更新し続けていくことそのものを楽しむ。
2. 全ての情報をノートに記録する
自分の思考を活性化させるために、調べたこと・思いついたこと・実際に試してわかったことを何でも記録する。
3. 追究の過程を可視化する
模造紙と付箋を用いて自らの学びのプロセスを可視化し、それを振り返るなかで、見えない成り行きを追うことの面白さを実感する。
テーマ決め・計画・調査・まとめをすべて子ども主導で行うことがこのクラスの一番大きな特徴と言えるでしょう。
まいぷろクラスの学びをさらに知っていただくために、個人プロジェクトの事例を一つご紹介したいと思います。
「なんで魚は昼間に釣れへんねやろ?」
探究堂の1期生であるK君(小学4年生)が初めて取り組んだテーマは、釣り好きの彼らしい素朴な疑問から生まれました。
最初に彼は「昼は水温が高いため、魚もお腹が空かない」という仮説を立てました。
仮説を検証するためには、まず実験用の魚を用意しなければなりません。
仕事で忙しいお父さんとの予定を調整し、日曜に海釣りに出かけたところまでは順調そのもの。
しかし、現地で釣れた魚は水槽で飼うには大きなサイズのものばかりで、作戦の根本的な見直しが必要になったのです。
「おかしいなあ、お昼も餌をたくさん食べてるんやけど」
鴨川に生息する小魚を捕まえることで、なんとか実験にこぎつけた男の子の前に新たな問題が立ちはだかります。
彼は、朝・昼・晩の三回、水槽の魚に餌をやって、食べ残しの状況を確認することにしました。
ところが、何度実験を繰り返しても、予想とは異なる結果が出てしまうと言うのです。
原因究明のために探究ノートを改めて見返していると、我々はふとあることに気付きました。
「水温が朝昼晩でほとんど変わってへんやん!」
室内にある水槽の水温が一定に保たれているため、それまでの実験のやり方では当初の仮説が全く検証できてなかったのです(何たるポカミス……)。
とは言え、一度や二度の失敗でへこたれる探究堂キッズではありません。
試行錯誤そのものが彼にとって大きな学びであり、この失敗をきっかけにより一層やる気が増した様子が伺えました。
ちなみに当課題に関しては、K君は水槽にライトを当てて水温を上昇させるというユニークなアイデアで解決を図りました。
ただし、自分のアイデアにすっかりご満悦で、翌日の実験では肝心な食べ残し確認を忘れて、ノートに水温の変化だけ記録していたのはご愛嬌です。
数々の紆余曲折がありながらも、本人としては納得いくまでテーマを追究し、約2ヶ月間に及ぶ個人プロジェクトは終わりを迎えました。
もしかすると読者の中には、彼が立てた仮説の甘さや調査方法・分析の粗さが気になった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、研究者としての一歩を踏み出した子どもにとって何より重要なのは、自分の力で探究サイクルを回すことができたという実感を持つことだと私は考えています。
現にこの男の子はヘンテコなアイデアやポカミスもひっくるめて、自らの学びのプロセスを面白がりながら振り返っていました。
小さなプロジェクトとは言え、自分なりにやりきったという経験は新たな探究に取り組む上での自信につながったに違いありません。
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